原木しい茸ができるまで
山の木を伐採し、原木しい茸になるまでに、実に1年半ほどの時間を要します。
原木しい茸は、自然の長いサイクルのなかで、ひとつひとつ人の手が入ってつくられるのです。
十
二
月
原木の伐採
コナラ、ミズナラ、クヌギなどの、どんぐりのできる木が原木に適しています。
木の葉が落葉しかけた晩秋頃から冬の終わりまでの時期に、伐採をします。
一
月
玉切り
切り倒した木を、約1mの長さに切断(玉切り)します。
二
・
三
月
植菌
原木に種菌を植え付けます。
ドリルで約25mmの深さに穴を開けた原木に打ち込みます。
一本の原木に30か所以上、植え付けをします。
四
・
五
月
仮ふせ
原木にしい茸菌を活着させます。寒い時期に植菌したしい茸菌を、原木内へ菌糸を伸ばしていくための、大切な行程です。 植菌したあとはすぐに、木漏れ日の当たる暖かい場所に置きます。
六
・
七
月
本ふせ
ほだ木内の新陳代謝を促し、しい茸菌を原木全体に蔓延させます。 ほだ木に打ち込んだ部分が白く発菌すると、いよいよ原木をほだ場に並べる「本ふせ」です。山の木々が直射日光や雨をほどよくさえぎり、土が水を吸い、湿度を保ちます。そして、風が葉を揺らす音が聞こえれば、環境はバッチリです。 約2万本のほだ木を並べるのに1年間かかります。
その
後
発生・収穫
約9割が水分でできているしい茸。雨が多い年は豊作となります。春と秋が大きな収穫のピークで、その時期に採れたしい茸を「春子」とか「秋子」と呼びます。一斉に出るしい茸に収穫が追いつかない? なんていうことも。 収穫は、気候条件をいつも気にしながら行います。
※しい茸は自然発生もしますが、水に浸けて刺激を与えることで、計画的にしい茸を発生させることができます。
里山のサイクル
伐採した木の切り株から新しい芽が出てきます。「萌芽更新(ほうがこうしん)」と言い、新しい芽は再びCO2を活発に吸収しながら元気よく成長し、木を若い状態に保つことができます。 それを繰り返すことで健康的な森が維持され、土砂の流出を防ぎ、きれいな水を豊富に蓄える里山が今に続くサイクルとなっています。